そんな日もあるよ

そんな日もあるさー

雪の上を歩くのが下手なんです

 東京は寒い。九州出身の私からしてみれば数値上の温度が同じであっても東京のほうが体に染み入る寒さに感じる。東京でこれなんだから東北なんか行ったに日には素でロボットダンスが踊れるくらいカチカチになるに違いない。こんな寒い東京の冬で、面白いのが雪が積もった場合の周りの人の姿だ。

 東京には日本全国から人が集まっている。私のように九州から来た人もいれば東北や北海道などから来ている人もいる。雪が積もると出身地ごとに歩き方がまるで違う。私は積雪なんて片手で足りるほどしか九州では経験していなかったので雪がつもった東京を歩く際には、まさに四苦八苦しながら歩いている。ただ友人の東北出身者は違う。まるで雪など無いかのように普通に歩いている。雪の中を歩く姿が凄く自然なのだ。雪の上に足を置く角度、体重のかけ方やバランス。どれをとってもスムーズで雪景色と一体になっているとさえ言える。かたや私と言えばふらふらぷるぷる、すっ転びそうになるのを必死でこらえながら友人の後を歩いていく。

 同僚や友人、同じ仕事をして同じ場所で暮らしていても、それまでの生き方の違いがふとした瞬間に現れることがある。妙にお好み焼きを焼くのが上手だったり、もんじゃの土手作りの名人だったり。いつもぼーっとしている人が実は合気道の師範代だったり。普段一緒に仕事をしている人の前職が陸自の音楽隊だったり。本当に人間って驚きに満ちている。私はこういった驚きに触れる瞬間がたまらなく面白くて好きだ。

 今年も残りわずかだが仕事納めや忘年会、まわりの人達のなにげない驚きに満ちた時間を楽しみにしている。