そんな日もあるよ

そんな日もあるさー

はてなブログで文章を書くということ

 私は数年前から一応プログラマの端くれとなった身として「ブログには技術的なエントリを書いていきたいなあ」と漠然と思っていた。仕事中に困ったときなど数多くのブログエントリの中から情報を得て問題を解決してきた。情報の搾取だけでなく自分でも何か有益な情報を発信したい、そういった気持ちをここ数年はずっと抱えている。その気持ちは間違っていないと思うし、実践できればきっとWEBという世界への私なりの恩返しになるだろう。ただ「何か役に立てる情報を発信しよう」という気持ちがけっこう空回りしていた気もする。ここで何故「空回りしていた」と過去形なのかと言うと、それはこの「はてなブログ」を使い始めたからだ。

 はてなブログのスタート時は Twitter のタイムラインでも話題だったしGoogle+のストリームにもはてなブログの文字が躍っていた。私は古くから使っているEUCベースのブログをUTF8なサービスに移行したいと考えていたので、なんとかこのはてなブログを使いたいと考え、初エントリにも書いてあるとおりめでたく招待してもらうことができた。めでたくはてなブログを使ってみて漠然と感じたのが「静か」だということだった。

 人それぞれ感じ方もあるだろうしデザイン次第でいくらでも変化してしまうが、私にとってこのはてなブログは質素で静かな、うっすら明るい書斎のようなそんな空気を感じた。おそらくそれはこのサービスが開始されたばかりだということが多いに関係しているのだと思う。実際には全くクローズではなく検索すればさくっと表示されるがカウンタもなければアクセス解析もついていない。だれかに見られているいることを全く意識しない(まあ実際にまったく見られていないんだけど)で文章を書くという行為に新鮮さと懐かしさを感じたのだ。

 私は昔から文章を書くのが好きだった。それは自分のメインブログで大量のエッセイを公開している事かからも伺えるかと思うが、エッセイ自体は10年程前に書いたものを最後に止まっている。

 今から10数年前、WEBと出会いHPを作り始めたころから常に私は誰かに読まれる文章を意識して文字を綴ってきた。自分の文章に誰かが感想を送ってくれたりコメントを書いてくれたり、第三者からリアクションを貰えるということはモチベーションの維持にも繋がるし何と言っても楽しく、素晴らしい体験だった。ただこういった体験の中で「静かに自分と対話して文章を綴っていく」時間がまったく無くなってしまった。そんな状況に加え最近では「人様の役にたつエントリを書こう」なんていうことを考え出してしまった。それはそれで良いことではあるのだが、この時点で私は「読まれる楽しさ」にばかり囚われていた。そう「文章を書く楽しみ」をすっかり忘れていたのだ。

 学生の頃はなんとなしにエッセイや小説なんてもの書いていた。文字を綴り文章を書くことがたまらなく楽しかった。自分の目にした風景、手にした感触、色や匂い、それらの記憶や自分の創造した世界が文章となって生み出される瞬間瞬間がたまらなく好きだった。そんな思いを私はすっかりさっぱり完全に忘れ去っていた。

 はてなブログに幾つかエントリを書いてみて正直どうしようかと考えた。

「読まれているのかどうかも全然わからない、というより絶対読まれてない、うーん、じゃあ書いてもしょうがないかなあ」

 ただ、なんとなくこのシンプルなブログを使っていると楽しい。何が楽しいのか、そう考えてみて、

「そうか、書くのってそれ自体楽しいことだった」

 そんなわけで今日から心機一転。書く楽しさを存分に感じながらこのはてなブログを更新して行こうと思う。